宴会の幹事役だけは引き受けたくない―。そう思っている人も少なくないのでないか。ただの飲み会だと言ってしまえばそれまでだが意外と責任は重い。くつろげて安く、おいしい店を選ぶことから始まり、当日も席順や会の進行に気を配る必要がある
▼ところがそれだけ意を尽くしても、評価は「あの会費でこの料理とはしょぼい」とか、「あいつに幹事を任せたのは間違いだった」だったりする。実に報われない。居酒屋にうその団体予約を入れ、無断でキャンセルした59歳の男がおととい逮捕された。幹事役を装ってのいたずらだったらしいが、ただでさえ気苦労の多い幹事が今度は店から疑われることになりかねない。迷惑な話である
▼男は6月下旬に東京都千代田区の居酒屋に偽名を使って電話し、参加人数17人、飲み放題を付けて1人1万3000円のコースを予約したそうだ。店は前日に確認したものの「変更なし」との答え。しかし当日は誰も現れない。店が警察に相談し、御用となったのだとか。今回は悪質性が高いとして逮捕につながったが、昨今は責任感のない幹事による無断キャンセルもよく話題に上る。店は費用をかけて準備しているのだから、客が来なければ大損害だ
▼経済産業省などのまとめによると、こうしたすっぽかしによる飲食店の人件費や食材、機会の損失は年間2000億円になるという。損害賠償に発展するケースもあると聞く。変更があればすぐに連絡した方がいい。幹事はたいてい仕切り上手な人が務めるから心配ないだろう。ただ、初めての人は心してほしい。