海外から詐欺

2019年11月18日 09時00分

 国境を越えて資本や商品を取引するグローバル化が日本企業の事業戦略として当たり前のものになって久しい。1973年の変動為替相場制移行を契機に海外へ目を向ける企業が増え、80年代後半から90年代前半にかけての円高時代に加速した感がある

 ▼国内の賃金水準が上がったため、安い労働力を求めて海外に生産拠点を移すケースが多かった。自由貿易体制で生き残るにはコストを下げるしかなかったのである。フィリピンの入国管理局が先週、日本を標的に活動していた特殊詐欺グループの拠点を突き止め、日本人の男36人の身柄を確保した。生き残りをかけたグローバル化という点では同じでも、こんな海外進出は許されないし日本の恥だろう

 ▼場所は首都マニラ近郊のホテルで、グループはここから日本に振り込め詐欺の電話を掛けていたらしい。高齢者らに口座が不正利用されたとうその連絡をし、日本にいる仲間が金融庁の職員を装ってキャッシュカードを受け取りに行く手口という。巧妙である。日本国内では世間の監視の目が厳しく、警察の捜査をかいくぐるのも難しい。そのため最近は詐欺グループが海外に拠点を置く例が増えているのだとか。この3月にもタイのパタヤで、メールを介し電子ギフト券をだまし取っていた日本人詐欺グループが摘発されている

 ▼両グループともずいぶんと荒稼ぎをしていたようだ。グローバル企業のビジネスマン並みの勤勉さである。一味には若者も多かったと聞く。その熱意を人をだますことでなく、社会を豊かにする仕事に生かせばよかったものを。


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