建築設計者らで構成する北海道百年記念塔の未来を考える会は2日、記念塔の解体に反対を表明し、鈴木直道知事宛てに公開質問状を提出した。専門的な見地から鉄骨の損傷は限定的で、改修費を削減できる余地があるとし、解体方針の再検証を提案。解体を進めようとする技術的な根拠の開示などを求めた。
百年記念塔[MAP↗]は開設から約50年が経過。近年では外板の腐食やさび片の落下が目立ち、利用者も減少していた。道は、今後50年間の改修・維持に25億円程度かかるとの想定を踏まえ、2018年12月に取りまとめた百年記念施設の再生構想で記念塔の解体を正式に決定した。
北海道百年記念塔の未来を考える会は、日本建築家協会北海道支部の会員建築士有志が中心となり、記念塔を保存できない根拠の再検討を促すために発足。
この日、記念塔の設計者である井口健氏を含む計36人の連名で公開質問状を提出。建築構造技術者ら学識経験者の意見から、記念塔を支える鉄骨自体の損傷は限定的で、改修コストを大幅に下げる技術的な方法に検討の余地があると主張。その上で、記念塔の解体は拙速な判断であるとし、公募による技術的ワーキンググループが再検証を実施すべきと強調した。
また、記念塔解体の決定に至った具体的な根拠や事業を急いで進める理由、記念塔が倒壊の危機にあるとする技術的根拠などについて、20年1月31日までに回答するよう求めた。
(北海道建設新聞2019年12月3日付より)