人生に1度の大きな舞台 「優勝目指し頑張りたい」
横浜港から太平洋へ出て針路を南に楽園パラオまで2週間ほどかけて走り続ける日本―パラオ親善ヨットレースに、ハラダ産業(本社・札幌)の池田信司さんがセーラーの1人として出場する。20代でヨットに魅了され、40歳のころから函館―青森間などの国内レースに参戦。51歳の今「人生に1度の大きなレースとして頑張りたい」と意気込んでいる。
池田さんが、ヨットと触れるようになったのは20代のころ。職場の先輩が共同購入でヨットを手に入れ、乗せてもらったとき「ゆったりとした遅いスピードだったが、風だけで走ることに魅了された」という。
その後も乗せてもらう機会は度々あったが、先輩は維持費の高さを理由にヨットを手放してしまう。悶々(もんもん)とした日々が10年余り続いた。
40代に差し迫っていたころ、知人の紹介でヨットオーナーと出会う。所有しているのはレーサークルーザーと呼ばれる種類の船で、小樽港を中心としたレースへの参加を考えていたところだった。出場できるよう仲間に声を掛け、念願だったセーラーへの道が少しずつ見え始めてきた。
初レースは今でも忘れない。2011年の小樽市長杯に出場し、当時最強と目されていた船艇と折り返し地点まで接近戦を繰り広げた。だが、復路で帆が絡まってしまい失速。「セーラーのほとんどが素人だったので無我夢中というか無鉄砲というか。接戦のときはアドレナリンが出っぱなしだった」と振り返る。
17年から札幌在住の今村琢也オーナーのもと活動し、12月29日に始まる日本―パラオ親善ヨットレースに出場する。船名はアルタイル3で、クルー8人のうち半数余りは横浜や小樽を拠点とするプロセーラーだ。
横浜ベイブリッジからパラオ共和国までの距離は約1726(3197㌔)。年明け1月8日前後にゴールする計画で、10日余りをノンストップで走らなければならない。洋上では2チームに分かれ、3時間交代で帆を調整したり針路を確認したりする。
職場では執行役員砕石部長として、工場の生産や安全管理を仕事とする。「ヨットレースは〝船から絶対に落ちるな〟が鉄則だが、万が一で落ちたときのトレーニングも欠かせない。そうしたリスクアセスメントはレースも砕石業も一緒」と。「レースは達成感が醍醐味(だいごみ)。経験豊富なプロセーラーからスキルを学び、優勝目指して頑張りたい」と話している。
(北海道建設新聞2019年12月25日付3面より)