火葬を問い返す

2020年01月09日 09時00分

 「正月は冥土の旅の一里塚めでたくもありめでたくもなし」。その一休禅師の句に倣ったわけではあるまいが、札幌市は今月末まで火葬場・墓地のあり方基本構想についてパブリックコメントを募集している

 ▼構想は、市民が葬送を考えるきっかけとなるよう作成。今後訪れる高齢者の急増による「多死社会」の本格化に伴って起こる火葬場の過密・老朽化対策、時代の変化に応じた墓地の維持管理等の課題を示した。内容はこれまでの火葬や墓地の存在を前提としている。しかし持続可能な社会「SDGs」が目指される中で、火葬という葬送方法、墓地という埋葬方法そのものが問われてきている

 ▼火葬は大量のエネルギーを消費し、地球温暖化につながる二酸化炭素が発生するため、環境に優しい葬送とはいえない。札幌市は、現在葬送方法として火葬のみを認めているが、その前提を思い切って見直す時期に来ているのではないか。墓じまいの増加に象徴されるように墓地の維持も深刻な問題になっている。葬送の見直しは世界的な傾向で、近年海外では多様な方法が試行されている。少々驚きだがスウェーデンでは遺体を液体窒素で凍結させてフリーズドライにする手法が実用化されている。米ワシントン州は「人間の遺体を堆肥にする」ことをことし5月に全米で初めて合法化する。木材のチップ、ワラの入ったコンテナに遺体を入れ微生物の力で安全な堆肥にするという

 ▼18年「SDGs未来都市」に選定された札幌市も全国に先駆けて新しい技術を生かし、葬送方法の多様化を検討してはどうか。


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