お客さんに会社を知ってもらうにはホームページの開設が一番―。そんな甘い言葉に誘われWeb製作事務所に発注したはいいが、出来上がってみるとあれこれ最新の機能が詰め込まれとんでもない請求額に。ITバブルの時代によく聞いた話である
▼入り口と幾つかの小部屋があれば十分と考えていた会社の担当者は大慌て。請求の内訳を見ても知らない言葉ばかりで何にどう使われているのかさっぱり分からない。せっかく作るのなら優れたものにしたい会社と、その足元を見て高くても買うと踏んだ事務所の共演による悲喜劇だろう。そんなバブル時代をほうふつとさせるような話が今でもあるとは思わなかった
▼おととしの北海道命名150年を記念するイベント「キタデミー賞」で、道が運営を委託した東京の制作プロダクションに予算を大きく上回る6500万円を請求されていたというのだ。ちなみに予算は900万円。昨今話題の「桜を見る会」でも経費は予算の3倍だが、これは7倍以上である。道は支払いを拒否したため制作側の「ギークピクチュアズ」(東京)が札幌簡裁に調停を申し立て、このほど道が2805万円を負担することで決着したという。あろうことか道は契約書も交わさぬまま運営を任せていたらしい
▼キタデミー賞は吉永小百合さんや北島三郎さんら本道ゆかりの著名人が登場する盛大な催しだった。制作プロとしては公的な記念イベントだから青天井でいけると踏んだのかもしれない。何ともばかばかしい話だが、税金を納める道民にしてみればほとんど悲劇である。