東日本大震災の直後、関東地方を中心にミネラルウオーターやトイレットペーパーが一時品薄になる事態があった。災害で供給が止まり、手に入らなくなるのを恐れた人々が買い占めに走ったのである
▼最近、ドラッグストアで感染防止用マスクの売り切れが相次いでいるのを見て、そのことを思い出した。当方もおとといの夜、少し買っておこうと探したものの、3店はしごして徳用の箱入りはもう一つもなかった。新型コロナウイルスに対する人々の警戒心の表れだろう。この2、3日でマスクをして歩く人もめっきり増えた。「マスクして隣の席の空きしまま」福士顯子。感染している人といつ隣り合わせるか分からない。札幌をはじめ本道は中国人観光客がよく訪れる土地。道民にとっては身近な脅威に違いない
▼実際、28日には観光のため武漢から知人と本道に訪れていた40代の中国人女性の感染が確認されている。もちろんこの女性に責任はないが、知らぬ間にウイルスの侵入を許していた事実は重い。中国ではきのうまでに患者が約6000人、死亡者が130人余りに上った。日本を含め世界各地で感染者が見つかっている。最初の報告からまだ2カ月弱。水に絵の具を落としたような広がりでないか
▼政府チャーター機による武漢からの日本人帰還も始まった。一安心である。ただ例によって心ないデマや過激な意見も増えてきた。百害あって一利なしだ。新型も人混みに出ず、マスクを着け、アルコールやせっけんで手を清潔に保てば感染はほぼ防げるという。正しく恐れ冷静に対処したい。