札幌市発注では初 宮の森・北24条通道路新設で
さくら佐藤建設(本社・札幌)は、札幌市の宮の森・北24条通道路新設現場にICT施工を活用した深層混合処理工法を導入した。通常施工では手間がかかる位置確認を地盤改良管理システムの導入で効率化。出来形品質の向上や安全な作業環境づくりに役立てている。
現場は豊平川に新設する北24条大橋[MAP↗]の接続道路部分で白石区側堤防のたもと。深層混合処理工法(MITS工法)で直径1600㍉、深さ11・7mの改良体を地中に650本築造することが主な施工内容となる。
同工法は地盤にセメント系固化材を注入しながら油圧ショベルに付けた機械でかき混ぜ、地中に強固な改良体を築造する。目印の丁張りを確認しながら施工するが、地盤をかき混ぜたときに土が盛り上がり目印ごと周辺が埋もれやすい。
現場代理人の芦沢卓哉さんは「この現場は改良体の配列が複数ブロックに分かれ不規則。通常に比べて施工位置の測量や丁張りに手間がかかることが予想され、ICT施工で効率化を目指した」と説明する。
採用したのは岩崎(本社・札幌)の「地盤改良管理システム」で、市の深層混合工事では初採用。このほか、改良体の頭出しで自動制御油圧ショベル、固化材の常時状態監視装置を活用するなどICTを多く取り入れた。
深層混合はレーザースキャナーで現場をデータ化した後、衛星測位システム(GNSS)で油圧ショベルを制御。オペレーターは操縦席のモニターで施工の中心位置や傾きを確認できるため、「出来形の品質や施工精度の向上に役立った」と振り返る。
位置出しの測量や丁張りが不要になり、現場技術員の負担が軽減。毎日約1時間の余裕が生まれ、残業抑制や週休2日工事達成のメリットが生まれた。
現場は住宅街に隣接して狭く、常に複数の建設機械が稼働しているが「機械近くの手元誘導員が不要になったため、安全な作業環境が構築できた」とリスクの低減効果も強調する。
工事は間もなく完了する。システム導入費は2台分、約3カ月で約1000万円と少なくないが、芦沢さんは「メリットが大きく導入は正解。工事規模は必要だがICT施工を積極活用したい」と話している。
(北海道建設新聞2020年2月7日付12面より)