3社が増収増益確保
大手ゼネコン4社の2020年3月期第3四半期決算が出そろった。3社が増収増益を確保したものの販管費増と利益率低迷が響いた鹿島が増収減益だった。連結の売上高や本業のもうけを示す営業利益、経常利益、純利益の全てで大林組が最多。清水建設が採算性改善で各利益を2割以上伸ばした。
公共・民間ともに底堅く推移する建設市場を背景に、4社の連結売上高総額は4.2%増の5兆3493億1500万円に上り、前年同期を2134億7500万円上回った。
資機材や労務費など建設コストに大幅な上昇が見られなかったことから、連結営業利益総額が3932億5200万円(7.4%増)、連結純利益総額が3036億100万円(8.1%増)とそれぞれ増えた。
単体でも受注高、完工高、完成工事総利益は大林組が最も多かった。
受注高は、国内民間建築を伸ばした大成建設や大林組、鹿島が増加。清水建設は国内民間建築が振るわず2割減と苦戦し、明暗を分けた。海外受注は清水建設が唯一1000億円を突破した。
完工高は、順調な工事進ちょくで大林組が1兆円を超え、3社が9000億円台に乗せた。
完成工事総利益は鹿島のみ減少している。完成工事総利益率は、大林組と清水建設が建築、土木ともに上昇し、大林組が13.8%(前年同期12.9%)で首位。清水建設は12.8%(11.8%)で1ポイントの改善。大成建設は建築利益率低下により12.4%(13.2%)と後退。鹿島は好採算土木工事減少の影響が出て14%から12.3%と悪化し、トップから最下位に転落した。
単体の繰越高は合計で7兆3229億8100万円(5.2%増)。3613億1300万円増えた。大成建設の2兆1000億円台を筆頭に、各社とも豊富な手持ち工事を残す。清水建設が海外工事2150億円を積み上げ、海外展開を加速させている。
「順調に推移し想定の範囲内」として20年3月期通期業績予想を4社全てが据え置いた。連結売上高は大成建設が1兆7400億円、大林組が2兆300億円、清水建設が1兆7600億円、鹿島が2兆円を見込む。
(北海道建設新聞2020年2月14日付2面より)