金属製建具メーカー、ワコー北成メタル(本社・札幌)の防水扉が本州を中心に実績を伸ばしている。高耐食溶融メッキ鋼板「ZAM」を使った加工品の製作で独自のノウハウを持ち、素材が持つ高品質と積み重ねた技術力の下、公共施設や商業施設で多く使われている。今後も道内外で広く使ってもらいたい意向だ。
1977年設立の製作金物会社。90年にステンレスサッシ専業工場を石狩市に新設した。2005年からZAM製品の取り扱いを始め、培った加工技術やノウハウの下、さまざまな製品を世に送り出している。
高耐食性換気フードは、躯体を削ることなく施工でき、既設が樹脂製フードだった場合、表面をカットするだけで取り付けられる。防水アタッチメント付きのため、シーリング工事が不要。こうした施工性の良さから公営住宅などで多く採用されている。
「ホクセイの庇(ひさし)」は、積雪荷重に配慮した北海道ならではの製品。本州発の大手メーカーによる製品は積雪荷重に重点を置いておらず、ZAMが持つ優れた耐候性と相まって、道内の消防施設などで導入されるようになった。
アルミ製遮音断熱パネルは、下水道施設を中心に多数の施工実績を持つ。パネルの圧縮・せん断強度が高く、気密性や断熱性に優れることが要因となった。
最近はZAM製品の集大成として、防水板や防水扉の普及に力を入れている。いずれも建材試験センターで水密性などの試験を実施し、成績書を取得。防水板と片開き防水扉は水深2m、両開き防水扉は水深5mまで対応する。
大雨や洪水などの災害に対応した商品。18年の西日本豪雨や19年の千曲川氾濫で水害への関心が広がり、本州の公共施設や商業施設で多く採用されるようになった。古くから一点物の特注製品を多く手掛けてきたノウハウが買われ、大手セキュリティー設備会社の協力会社として製品を納めることが多い。
このうち防水板は、さまざまな開口サイズに対応した受注生産品で、幅寸法は中柱を取り付けることで無制限に対応。高さ寸法は積み上げ式パネル仕様によって1500㍉までカバーする。受け枠は建物に合わせて作るため納まりがよく、空間になじみやすい。
顧客から支持されている背景には、グループ企業間で設計、製造、営業を専業化し、使い手のことを考えた商品作りが秘訣(ひけつ)のようだ。サッシ事業の先細りを見越し、98年ころから工場の機械化や3次元CADの導入を進め、多品種少量生産を図ってきたことも奏功しているとみている。
川田真範常務は「さまざまな人との縁があって、これまで地道に事業を続けられた。これからも北海道から良い製品を全国に発進したい」と話している。
(北海道建設新聞2020年2月18日付3面より)