感染対策の余波

2020年03月10日 09時00分

 世界で最も大きな陸上動物といえばアフリカゾウである。本道の動物園にはいないため見たことのない人も多いだろう。体長は最大で7mを超え、体重も10㌧に達する。大型ダンプ並みだ。目の前に現れたら圧倒されるに違いない

 ▼この大きさからアフリカにはこんな面白いことわざがあるのだとか。「象を食べるなら一口ずつ」。不可能に思える事業でも、小さな努力を積み重ねることで実現できるとの意味という。もとよりゾウを食べる気にはならないが、必要に迫られたときのために覚えておくのも悪くない。実は政府が今、新型コロナウイルス対策として実施している方策もこれと似ている。感染者の急激な増大を食い止めながら、限られた重症の患者に医療資源を集中することで事態を乗り切る作戦だ

 ▼中国や韓国、イタリアの失敗を踏まえむやみなPCR検査は避け、国民に不要不急の外出や学校の休業、不特定多数が集まるイベントの自粛を要請。現在のところ増加は抑えられ一定の効果が出ている。同じ患者数でも一挙に現れた場合と徐々に増える場合では結果に格段の差が出る。一挙だと医療現場が崩壊し感染拡大が止まらなくなるが、ゆっくり増えて流行のピークを下げられるなら治療も余裕だ。新型コロナも一口ずつである

 ▼ただしこれ、感染対策には有効でも経済への影響は計り知れない。きのうの東京株式市場日経平均株価終値は先週末から1050円下落し、1年2か月ぶりに2万円を割り込んだ。コロナより前に暮らしが壊れてしまいそうだ。やはりゾウを食べるのは楽ではない。


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