9年目の3・11

2020年03月11日 09時00分

 人気ドラマ『北の国から』(フジテレビ)の主題歌を作ったさだまさしさんには心の琴線に触れる歌が多い。映画『ひめゆりの塔』(1995年)で使われた「しあわせについて」もその一つ。時々無性に聞きたくなる

 ▼歌い出しはこんなだった。「しあわせですか しあわせですかあなた今 何よりそれが何より一番気がかり みんなみんなしあわせになれたらいいのに 悲しみなんてすべてなくなればいいのに」。日本中の人々がそう願っているに違いない。きょうは9年目の3・11である。東日本大震災からもうそんなにたったのだ。この9年の間にも地震、台風、噴火とたくさんの災害があった。どこが被災地になってもおかしくない。少しでも被害を減らすためにわれわれにできることは何だろうか

 ▼東日本大震災で「釜石の奇跡」と呼ばれた事例がヒントとなろう。片田敏孝群馬大名誉教授が震災前から小中学校で続けていた出前授業によって、児童生徒にほとんど犠牲者を出さず済んだ出来事である。教授はまず子どもたちを市内に34基ある津波慰霊碑に連れて行ったそうだ。そこにはたいてい津波の恐ろしさを後世に伝えるメッセージが刻まれている。こう諭したという。「津波は君たちが生きているうちにも必ず来る。想定にとらわれず率先して避難しなさい」

 ▼さださんの歌はこう続く。「どうぞあやまちは 二度とくり返さずに」。教授の教えにも通じる心構えだろう。先の教訓を忘れてはいないか。油断で幸せを失ってしまわないよう、あの日胸に刻んだ碑文をあらためて読み直したい。


ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • web企画
  • オノデラ
  • 日本仮設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,441)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,273)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,170)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,140)
函館開建が国道5号の常盤川交差部に橋梁新設の可能性...
2024年04月17日 (783)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。