IoTに潜む危険

2020年03月14日 09時00分

 エレベーターに乗っていて、最上階まで上った辺りで「もし今ワイヤーが切れたら…」と心配になったことはないだろうか。実際は多重安全装置があるため下まで落ちることはない。仕組みが見えないゆえの不安だろう

 ▼米ミステリー作家ジェフリー・ディーヴァーの『スティール・キス』(文藝春秋)では、冒頭で通行人がエスカレーターに巻き込まれて死亡する。こちらも普段何気なく使っている機械だけに怖い。勝手に動くはずのない上部の点検口が突然開き、落ちて歯車に押しつぶされたのだった。サンダルが挟まったり、不規則な速度変化で乗客がなぎ倒されたりといったケースは現実でもたまに聞く。ただ、死亡事故はまれである

 ▼それが横浜市の商業施設で発生したという。12日、エスカレーターの点検作業をしていた男性が足から腹部までを巻き込まれて死亡したそうだ。この作業員は機械を停止させ、一人で作業していたことが分かっている。まだ不明だが何らかの原因で急に動き出したらしい。実は先の小説では、IoT(モノのインターネット)技術を悪用した犯人が制御装置を遠隔操作して点検口を開けていた。同じ手口で家庭用ガスコンロを介しマンションも爆破している。横浜の事故がそうだとは思わないが、これからの世の中、サイバーセキュリティーが一層重要になるのは確かだろう

 ▼金融機関へのハッキングが後を絶たず、イランでは原子力発電所がサイバー攻撃を受ける時代だ。生活が一気に便利になると同時に、仕組みはどんどん見えなくなる。心配がないとは言えない。


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