子どもの将来なりたい職業ランキングで必ず上位に入るパイロットは華やかな半面、想像以上に難しく責任の重い仕事らしい。旅客機パイロット早川秀昭さんの話をNHK『プロフェッショナル仕事の流儀 運命を変えた33の言葉』(2013年)で読んだ
▼めまぐるしく変わる気象状況や機体のコンディション、空港や他機の動きを休むことなく把握し、常に正しい判断を下しながら操縦せねばならないのだという。新型コロナウイルスとの戦いで最前線に立つ政府や感染症対策専門家会議、医療関係者にも今はパイロット並みの重圧がのしかかっているに違いない。感染を巡る状況が上空の気流のように日々ころころと変化し続けているためである
▼本道での感染多発がやや下火になったかと思えば次は阪神地区に。そして現在は東京へと中心を移している。対策も手洗いとマスクの励行から外出やイベントの自粛、学校の休業、果てはロックアウト(都市閉鎖)まで。しかも道を誤れば感染は一気に爆発する。瀬戸際に立つ東京では小池百合子都知事が都民らに今週末は不要不急の外出を控えるよう求めた。政府はきのう、先に成立した特別措置法に基づく「政府対策本部」を設置。安倍首相が「緊急事態宣言」を出せるようにした
▼大きな嵐が刻一刻と迫っているようだ。さて、ある程度ウイルスを押さえ込んできた旅客機日本はこの嵐を避けられるのか。パイロットだけに責任を押し付けるわけにはいくまい。乗組員たる国民もここで気を抜くことなく、プロフェッショナルの操縦に協力していきたい。