#検察庁法改正案

2020年05月12日 09時00分

 知識がないのを人に悟られたくないばかりに、つい知ったかぶりをしてしまう。誰にでも覚えがあることでないか。落語の「転失気(てんしき)」はそれを笑いにする

 ▼体調を崩した住職に、医者が「てんしきはありますか」と尋ねた。何か分からない住職は小僧に「すぐてんしきを買ってこい」と耳打ち。小僧が花屋に行くと、「今朝まであったが落として壊した」。次の八百屋では、「さっき食べてしまったよ」。あちこち駆けずり回ったが手に入らない。困り果てた小僧が諦めて先の医者を訪ねて教えを請うと、「てんしき」は「放屁」だとのこと。住職は知ったかぶりをしたばかりに、後で底の浅さを笑われる羽目に陥ってしまった

 ▼こちらもその噺と似た趣がある。ツイッター上で9日から10日にかけて、「検察庁法改正案に抗議します」との文言に#(ハッシュタグ)を付けたツイートが500万件近くもあったそうだ。著名人の投稿も多かったらしい。NHKはじめ主要メディアが大きく報じていた。抗議は以前に問題視された黒川弘務東京高検検事長の定年延長に絡むもので、要は政権の司法介入を許さないというのである。ただ、これは見当違い。国会で今審議しているのは国家公務員の定年を段階的に引き上げるための法改正で、検察官の定年もその一環。そもそも民主党政権時代からの懸案である

 ▼著名人らもある程度調べてから投稿すればいいものを、知ったかぶりをするとやはり後で恥をかく。しかもツイートのほとんどは水増しだったというから見抜けなかったメディアも情けない。


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