学校再開

2020年06月03日 09時00分

 商店のあるつじを左に折れ、橋を渡って少し行くと学校に着く―。誰もが自分の通学路を持っているものだろう。毎日歩く道だけにいつまでも記憶に残る

 ▼住野よるさんの小説『君の膵臓をたべたい』(双葉社)にも印象的な一節があった。難病を患う女子高生の友人を見送りながら「僕」が思うのだ。「きっと、僕が見ているいつもの帰り道と彼女が見るいつもの帰り道では、その一歩一歩の見え方がまるで違う」。おととい、会社に行こうと自宅を出ると、学校へと向かう高校生たちの姿があった。彼らもようやく自分の通学路に戻ってこれたわけだ。新型コロナウイルスの感染拡大で臨時休校していた小、中学校、高校が1日に再開されたのである。第2波に見舞われた本道では休校措置が5月末まで延長されていた

 ▼しばらくぶりに見る「いつも」の登校風景に思わず頬が緩んだ。彼らにしても、久しぶりの通学路はだいぶ違って見えたのでないか。休んでいるうちに桜は散り、街路樹は緑に変わっている。とはいえすぐ元通りというわけにもいかない。密を避けるため当面は分散登校になるようだ。数グループに分け、日や時間をずらして授業をするのである。遅れを取り戻すため夏休みも短縮するらしい

 ▼「修学旅行で眼鏡をはずした中村は美少女でした。それで、それだけ」笹公人。そんな思い出づくりの場となる修学旅行や体育大会、学校祭を見直すところも多いと聞く。コロナのせいだがふびんな話である。彼らが見るのはきっと例年と違う景色だろう。それもまた美しいものであればいいが。


ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • オノデラ
  • web企画
  • 川崎建設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,447)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,282)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,177)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,102)
函館開建が国道5号の常盤川交差部に橋梁新設の可能性...
2024年04月17日 (783)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。