道が取りまとめた2019年度の道内市町村別体験移住実績によると、釧路市は前年度よりも滞在者数、滞在日数を伸ばして9年連続1位を達成した。
道内市町村などが運営主体となり、道内への移住や2地域居住を希望する人に体験移住してもらう「ちょっと暮らし」の実績。道内全体では滞在者が前年度比19.4%増の4666人、滞在日数は8.7%増の9万5092日だった。
釧路市は夏の冷涼な気候を切り札として官民一体で長期滞在事業を展開。滞在者数は64%増の2219人、滞在日数は27.2%増の2万5872日となり、2年ぶりでプラスに転じた。
居住地別内訳は関東が1304人(構成比58.8%)、近畿が584人(26.3%)、中部が129人(5.8%)で、この3地域で9割を超える。
施設別利用者数はホテルが2071人(93.3%)、マンスリーマンションが140人(6.3%)、その他が8人(0.4%)。滞在期間は1―2週間が最多の1501人(67.6%)、4―6日が514人(23.2%)、1―2カ月が84人(3.8%)、2カ月―1年が77人(3.5%)、2週間―1カ月が43人(1.9%)で、4日以上1カ月未満の増加が目立つ。
年齢構成は60代が1078人(48.6%)、70代が763人(34.4%)、80代が264人(11.9%)で70、80代の伸びが大きく60代の構成比は半数を割った。一方、現役世代の50代は71人(3.2%)にすぎないが、前年度からは23人増えた。
釧路市の長期滞在施策を所管する市民協働推進課の小畑由紀交流推進主幹は、19年度の釧路は台風など災害の影響がほとんどなくキャンセルが少なかったことのほか、個人客対象ツアーの通年化、3年ぶりの冬のツアー復活を増加の理由に挙げ、新型コロナウイルスの影響がなければ3月はもっと伸びたと指摘する。
20年度は4―5月がほぼ壊滅状態、それ以降も大きく落ち込んでいるが、市としては都道府県をまたぐ移動の自粛緩和後は問い合わせに対し受け入れ拒否はせず、感染防止対策の徹底などに理解を求めているという。
小畑主幹は「本年度の数字が落ち込むのは避けられないが、ここでどう対応したかが来年度以降の成果につながる。長期滞在者と市民が互いに不信感を持たないよう丁寧な対応をしたい」と話している。(釧路)
(北海道建設新聞2020年8月25日付11面より)