城成建設が2015年から受け入れ
型枠工事を手掛ける城成建設(本社・釧路町)が受け入れている外国人技能実習生のうち2人が、2級型枠施工で技能検定合格を果たした。道内の実習生としては初の快挙。2人は期間満了でことし11月にも帰国する予定だが、「もし日本に戻れるなら、またこの会社で頑張りたい」と意気込んでいる。
難関を突破したのはグエン・テヤン・アンさん(33)とリエウ・ヴァン・ティエンさん(29)。同社にとって初めての外国人技能実習生として2015年に来日した。
最初の年は「とにかく冬の寒さにびっくりした」という2人だが、アンさんは丸3年たって技能実習3号へ移行する際に1回だけ、ティエンさんも2回しか帰郷せず仕事に没頭。そのせいか今では釧路の夏でも暑く感じるようになってしまったそうで、ベトナムに帰ったら暑さに耐えられるか少し不安だと笑う。
もともとアンさんは電気工事、ティエンさんは溶接の仕事をしており、建設業と無縁ではなかったが、型枠施工は未経験。来日前に日本語の勉強はしたものの、実際に働いてみれば現場で飛び交うのは意味不明な専門用語ばかりで戸惑いだらけだった。
それでも続けてこられたのは「みんな優しくしてくれた。言葉も仕事も丁寧に教えてくれた」から。先輩や同僚たちの懇切丁寧な指導や親身になってのサポートで乗り越えることができた。アンさんは日本風のカレー、ティエンさんはすしが大好物になるなど、食文化にもなじんでいる。
一通り仕事を覚えてからは、道東一円にとどまらず札幌、青森、東京、沖縄など同社が手掛ける全国の現場で活躍。同社は毎年数人ずつ受け入れを続け、今ではベトナム人実習生が16人に達したが、そのリーダー格として彼らが言葉や習慣を教え、公私にわたり面倒を見る立場となっている。
今回の試験は実技、学科とも8月26日に実施。特に学科は言葉の壁が予想されたが、本人たちの努力と先輩たちの的確な助言もあって実技・学科とも1回で合格した。
同社の田口光浩社長は「彼らは勤勉で素直。お金を稼ぎたい、という意欲が強く、同世代の日本人より一生懸命働く。現場から苦情はなく、むしろ褒められることの方が多い。戻ってきてくれるなら、こんなうれしいことはない」と称賛。
一方、元請けでさえ人材確保に頭を悩ませている昨今、専門工事業者にとって彼らが貴重な戦力となっているのも現実。受け入れ企業が年々増える中、選ばれる企業となる努力が必要と考え、「毎年の昇給のほか、彼らの生活、仕事を会社としてサポートする体制づくりも続けていきたい」と話している。(釧路)
(北海道建設新聞2020年10月1日付4面より)