日本学術会議の会員

2020年10月07日 09時00分

 米デジタル製品大手アップルの創業者スティーブ・ジョブズは、イエスよりノーを多く発することで知られていた

 ▼製品の開発や改良に取り組んでいる際、一見優れたアイデアにもめったに「イエス(良し)」とは言わず、門前払い、差し戻し、再検討を意味する「ノー」を繰り返したそうだ。製品を刷新するには従来の枠にとらわれていてはいけない、ノーを判断することこそがトップの役割と考えていたのである。上がってきたアイデアをうのみにしたり、前例を踏襲したりする方が楽で進行も早いが、それでは自分の理想とする画期的製品はできないとの信念があったらしい。この人も同じ考えなのだろうか

 ▼菅首相が日本学術会議の会員候補6人を任命しなかった件が波紋を呼んでいる。1949年の会議創設以来、時の首相が任命を見送った例はない。菅氏は首相就任後すぐに縦割り打破を掲げ行政改革に乗り出している。会議も国の機関である以上、まな板に載せないまま済ますつもりはないのだろう。菅政権の発足からまだ1カ月もたっていない。ところが行政手続きの押印廃止、デジタル庁の創設準備、縦割り110番、国と地方の関係見直しと矢継ぎ早に策が出てくる。行政改革が首相の理想の1丁目1番地だからに違いない

 ▼とすれば首相が会議にノーを突きつけるのも大事な役割。ただし任命見送りについてはもっと丁寧に説明した方がいい。会議側も推薦が入れられないのは「学問の自由の侵害」と熱くならずに、運営が前例主義に陥っていなかったか科学的に検証してみてはいかがか。


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