おいしい受信料

2020年11月05日 09時00分

 脚本家の木皿泉さんは子どものころ、男尊女卑の気風が残る家で育ったそうだ。自分と妹の部屋は廊下の突き当たりのような場所にあったのに、兄は一部屋を与えられ、食事も良い物を食べさせてもらっていたという。エッセーに記していた

 ▼そんな特別扱いされてきた人は失言やパワハラ、セクハラをしがちになると木皿さんは指摘し、こう表現する。「そういう人たちは、お菓子の家に住んでいたんだなと思う」。どういう意味かというと、おいしい物が出てくるのは当然と考え、「周りの人は自分のためにいるというふうに見えている」から自分のわがままに気付けないのだそう。もしかするとNHKも、そんな勘違いをしているのでないか

 ▼先月開かれた総務省の有識者会議でNHKが、テレビなどの受信機を設置した場合にNHKへの届け出を義務化する制度改正を要望した。黙っていてもおいしい受信料が届けられるのを当たり前と考えている上に、今度は箸で口まで運んでもらおうとしているらしい。受信料を支払うべき世帯の2割が契約を結んでおらず、世帯を把握するのに膨大な経費がかかっているというのがNHKの言い分だ。災害などの際、スポンサーに配慮することなく情報を伝えてくれるのは確かにありがたい

 ▼とはいえ高額な職員給与には手を付けず、受信料の引き下げはすずめの涙、番組内容も時に政治的中立を欠くとなればNHKの信頼はいずこにあろう。何より言葉から「国民はNHKのためにいる」との不遜な態度がちらつく。NHKもお菓子の家に長く住み過ぎたのでは。


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