急がれる災害対策

2020年12月07日 09時00分

 気象庁が特定の条件を満たした台風に名称を付けているのはご存じだろう。「顕著な被害が発生し、かつ後世への伝承の観点から特に名称を定める必要があると認められる」場合である

 ▼最も古いのは1954年の洞爺丸台風で、伊勢湾台風や室戸台風などよく聞く名称が並ぶ。現在、名称が付けられているのは10個。ところで最新の2個はことし付けられたのだが、それを知っている人は意外と少ないかもしれない。千葉県を中心に甚大な被害をもたらした去年9月の「令和元年房総半島台風」(15号)と福島、宮城両県で多数の死者を出した10月の「令和元年東日本台風」(19号)である。名称が付けられたのは1977年の沖永良部台風以来。実に42年ぶりというから、それだけ近年まれに見る顕著な被害だったわけだ

 ▼菅首相は1日の閣僚懇談会で、仮称「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」をまとめるよう閣僚に指示した。先の台風2個のような自然災害の激甚化に対応するためである。近年ほぼ毎年、風水害や巨大地震に襲われる事実を考えると、優先順位の高い政策課題であることは間違いない。計画は21―25年度で事業費15兆円。インフラ整備では予防保全や老朽化対策、デジタル化に力を注ぐらしい

 ▼幸いことしは巨大台風や地震がなかったが、もしこのコロナ禍で起こっていたらと考えると寒気がする。これで対策に感染症という難しい前提が加わった。ただ、解決策はある。台風や地震が来ても被害を最小限に抑える手立てを講じることだ。計画の足を止めてはいけない。


ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • web企画
  • 東宏
  • 日本仮設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,438)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,270)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,170)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,134)
函館開建が国道5号の常盤川交差部に橋梁新設の可能性...
2024年04月17日 (783)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。