元日の朝にテレビをつけると、いつものワイドショーで出演者が新型コロナウイルスについて熱い議論を戦わせていた。新年早々からコロナで生放送とはご苦労な話である。ただ、正月までコロナに追い立てられるのはご免だ。ひどくうんざりしてすぐにチャンネルを変えた
▼やはり正月のテレビは何となく流れているだけの、毒にも薬にもならないお笑いや列島各地の新年の表情を伝える番組がのんびりできていい。けれどもそういう軽口を言っていられるのも第3波が下火になりつつある本道だからかもしれない。どうやら首都圏はのんびりした状況にはないようだ。感染拡大が止まらず、一部では医療崩壊も始まっていると聞く。東京は2020年締めくくりの日に、過去最多1337人の陽性者を出している。重症者数も100人を超えた
▼東京、埼玉、千葉、神奈川の各知事が2日、政府に対し新型コロナ特別措置法に基づく緊急事態宣言発出の検討を要請したのも強い危機感にかられたからに違いない。きのうは官公庁と多くの企業で仕事始めだった。ことしは外出を極力控え、いつも以上の寝正月になった人も少なくなかろう。そんな巣ごもりで動きが抑えられていたウイルスもまた活発に仕事を始めようと狙っているはず。ここで隙を見せるわけにはいかない
▼菅首相はきのうの年頭記者会見で1都3県を対象とする緊急事態宣言発出に前向きの意思を表明した。宣言が最高の対策かどうかは分からないが、いま一度気を引き締めたいのは事実。うんざりして投げ出すならウイルスの思うつぼだ。