植物の特性利用し成長抑制
東陽上村アドバンス(本社・札幌)は、道路の草刈りなど維持管理を軽減できる防草ブロックを取り扱い始めた。全国防草ブロック工業会北海道支部に加盟して製作。コンクリートブロックの側面上部に切れ込みを設け、植物の特性を利用し、雑草の成長を抑える。札幌市内の歩道で昨年9月に試験施工を実施。今夏以降、効果を検証しながら道央圏を中心に普及させたい考えだ。

札幌市内で実施した試験施工の様子
植物の芽や茎は太陽に、根は地中に向かって成長するが、その方向が逆向きになると成長が止まって枯れ死んでしまう。防草ブロックは、こうした成長特性に着目した。
風に飛ばされたり雨で流された雑草の種が成長し、地中へ根を伸ばそうとすると、成長過程で根が防草ブロックの切れ込み部分に誘導され、成長の方向が逆向きになり、ホルモンの異常分泌で枯渇するという仕組みだ。
製品は、歩道側の植生を抑える縁石と、車道側の植生を防ぐベース板の2種類を用意する。車道と歩道の両側から雑草が生えてくることを抑えたい場合は、ベース板の上に縁石を重ねて敷設することを勧める。
導入によって、草刈りなどの維持管理にかかる時間と労力を軽減できる。除草剤など薬剤を散布する必要がないため、環境面でもメリットが大きい。
防草ブロックは、全国防草ブロック工業会(事務局・愛知県豊田市)が普及を進めているコンクリート二次製品。2020年7月現在、全国460㌔の敷設実績を持つ。16年に地球・人間環境フォーラムのエコプロダクツ大賞、19年はレジリエンスジャパン推進協議会の最優秀レジリエンス賞に選ばれた。
北海道支部は19年7月に発足。同社のほか山田産業(本社・砂川)と旭ダンケ(同・旭川)、北陵ジー・アール・シー工業(同・千歳)、石田鉄工(同・三重県木曽岬町)で組織する。
道内のコンクリート二次製品メーカーは、生産効率の良い即時脱型方式が主流で、形状が複雑な防草ブロックの製造は従来難しかった。北海道仕様はブロック上側面を切り欠けくさび形状にすることで、本州のような流し込み方式ではなく、即時脱型方式でも製造できるようにした。
高田稔部長は「歩行者、車ともに、より安全で快適に公共道路を利用できる製品として世に送り出したい。歩車道境界に雑草がない、奇麗で美しい道路が当たり前になる時代、そんな未来を目指している」と話している。
(北海道建設新聞2021年1月26日付3面より)