JRが補修費、道発注で調整
道とJR北海道は4月1日付で廃止するJR日高線鵡川―様似間(116㌔)の海岸線を対象に護岸の補修を検討している。同区間は2015年1月の高波被害で線路が被災して不通となり、以後も断続的に被害を受けてきた。補修に向けては、JR北海道が道に補修費用を支払い、道が発注する方向で調整中。道の21年度当初予算案に補修箇所の調査費を計上した。補修が必要な箇所を抽出し、22年度以降に着工する考え。調査の結果次第では21年度中の整備着手も視野に入れる。
JR日高線は、15年1月の高波被害で線路下の路盤が流出した。低気圧などの被害もたびたび受け、16年8月の台風では線路下の路盤が流出し、護岸が倒壊、橋梁の桁が流失。現在も土砂流出が続き、周辺の漁場に悪影響を与えている。
JR北海道は、全線復旧を模索したが86億円という巨額の復旧費が必要で、同線廃止・バス転換を表明。地元自治体は鵡川―様似間の方向性を①全線復旧②鵡川―日高門別間は鉄道復旧し残りをバス転換③全線バス転換―の3案で議論を開始した。
日高管内7町長は20年10月、JR日高線廃止に同意し、廃止に伴う沿線へのJRの支援内容などを記した覚書を締結した。覚書には18年間分のバス運行費などとして25億5500万円の拠出が決まっている。
災害発生から6年が経過した護岸の補修については、道が21年度に補修箇所を絞り込むため、調査を実施する考え。22年度以降の着工を予定しているが、調査の結果次第では21年度中の整備着手も視野に入れる。
道の担当者は、災害の範囲が広いことから「補修する必要がない箇所もある。まずは調査し、工法もJR北海道と相談する」と話している。
補修費は、JRが道に費用を支払い、道が発注する方向で調整している。