柴橋伴夫氏ら有志が活動 修復費100万円目標に募る
旧ホテルオークラ東京などを設計した建築家の故・小坂秀雄氏が手掛けた市立小樽文学館(旧小樽地方貯金局)。壁などの劣化が進む中、良好な環境で展示会が開催できるようにと、道内在住の詩人や文学者ら有志が修復費用の寄付を呼び掛ける活動を展開している。
市立美術館を併設する文学館(色内1の9の5)はRC造、地下1地上3階、延べ4513m²の規模で、1952年に完成。東京帝大建築学科を出て旧逓信省に入省した小坂氏による近代主義(モダニズム)建築の一つ。四角形の窓からなるガラス張りの階段室などが特徴だ。78年11月に市町村立で初の地域総合文学館として開館した。
小樽ゆかりの小林多喜二や伊藤整をはじめ、多くの文学者の貴重な資料などを収蔵展示するとともに数多くの企画展を開催。ことしで開館43年目を迎える。
展示空間(壁面・床面など)の損傷が激しく、全面的な改装が求められているが、新型コロナウイルス感染拡大による入場者減少などが影響し、無理な状態にあるという。2020年4―12月末の入場者数は3176人と前年同期から半減している。
こうした窮状を知り、本紙でコラムを寄稿する詩人・美術評論家の柴橋伴夫氏をはじめ、文学者や作曲家、彫刻家ら有志10人が「サポート基金」づくりの活動を展開。通常の企画展に使用可能なスペース186m²の修復に向け、100万円を目標に協力を募っている。期間は3月末まで。
呼び掛け人の柴橋氏は「文化は心のオアシス。厳しい状況だからこそ、文学の力が求められている。改装実現により日々奮闘する文学館の活動を少しでもサポートできれば」と話している。
基金は一口3000円。振込先は詩人の嵩(だけ)文彦氏の口座で、北海道信用金庫新札幌支店、普通4283224。問い合わせは柴橋氏、電話090(2051)8551まで。
(北海道建設新聞2021年2月18日付3面より)