15カ月予算では2.8%減 宇遠別トンネル着工へ
道は19日、2021年度予算案を発表した。一般会計は前年度当初比15.4%増の3兆2529億9566万円だった。このうち公共事業などの投資的経費は13%減の3311億3578万円、特別会計を含めると12.6%減の3401億8215万円と減少幅が大きかった。ただ、20年度補正予算案も含めた15カ月予算は一般会計で4927億8790万円と2.8%減にとどまった。名寄遠別線の宇遠別トンネル(遠別町)の着工を見込むほか、富良野川火山砂防下流堰堤群(上富良野町)の着手を計画している。
特別会計は、7.6%減の1兆271億8298万円。一般会計と合わせた総額は4兆2801億7864万円で前年度当初比8.9%増加した。
一般会計は、新型コロナウイルス感染症対策費として6431億2400万円を計上したことで前年度当初を15.4%上回り、過去3番目の規模となった。20年度補正予算案を合わせた15カ月予算は16.1%増の3兆4558億円で過去最大となっている。
一般会計の投資的経費は、補助事業が14.7%減の1648億円、社会資本整備総合交付金事業が横ばいの195億円、施設等建設事業が38.1%減の237億円と減少した。一方で20年度補正案分の1616億円を含めた15カ月予算では、補助事業が0.5%減の2879億円、社会資本整備総合交付金事業が3.7%増の408億円とほぼ前年度並みとなった。
主な建設事業を見ると、道路は名寄遠別線の未改良区間に新設する宇遠別トンネルは3カ年の債務負担行為を設定し着工する。知床公園羅臼線羅臼橋(羅臼町)の架け換えは21―27年度。泊共和線の茅沼1号トンネルやきたひろしま総合運動公園線などを継続する。
河川は望月寒川(札幌市)や安平川(苫小牧市)、芭露川(湧別町)などの整備を引き続き行う。
砂防は火山砂防事業で富良野川下流堰堤群への着手を予定しているほか、ポンペーパン川(旭川市)、ミズモト左川(室蘭市)など7地区の通常砂防事業や余市沢町2(余市町)の急傾斜地崩壊対策事業の着手も計画している。
交通関係では、JR日高線鵡川―様似間(116㌔)の海岸線の護岸補修に向け対象箇所を抽出する調査費を計上した。
建築関係を見ると、旭川肢体不自由児総合療育センターの解体工事に着手するほか、赤れんが庁舎改修や旧道議会庁舎の解体、北海道消防学校改築の実施設計などを引き続き実施する。
災害復旧費は26億5460万円を計上。このうち過去の災害に対応する過年分は9億3690万円、21年度の災害に備えた現年分は17億1769万円となっている。
鈴木直道知事は、19日の定例記者会見で「何よりも優先すべきものは新型コロナウイルス感染症への対応」と述べ、感染症に強い地域社会の構築を図った上で、ポストコロナを見据え、サプライチェーンの再編やデジタル化、脱炭素化などに取り組む考えを示した。
21年度予算案は、「命と暮らしを守り、未来を切り開く」との考えで編成。①現下の危機克服と感染症に強い地域社会の構築②ポストコロナの新たな未来を切り開く北海道づくり―の2つを柱に設定した。25日開会予定の第1回定例議会に提出する。
(北海道建設新聞2021年2月22日付に解説と関連記事を掲載します)