CO₂を液化 生コン内に封じ込め
会沢高圧コンクリート(本社・苫小牧)は、カナダのカーボンキュア・テクノロジーズ社とライセンス契約を結び、4月から低炭素コンクリートの供給を始める。化学工場などから排出されるCO₂を液化し、生コン製造時に注入することで永久に封じ込める技術。CO₂排出量の削減に貢献するほか、コンクリート強度を従来品より10%高める効果があるため、高品質化にもつながるという。
カーボンキュア社と2020年7月にライセンス契約を締結。同社が開発したコンクリート産業向け二酸化炭素リサイクル技術を、札幌菊水工場の生コンプラントと鵡川工場の2次製品プラントで実装する。CO₂はエアウォーターなどから供給を受ける。
エアウォーターなど供給者は、化学工場などから採取したCO₂を純粋液化し、ローリー車で生コン工場内の専用タンクまで運ぶ。その後、カーボンキュア社の専用装置で最適なCO₂添加量を取り込み、プラントのミキサー内部に注入するという流れだ。
出来上がる低炭素コンクリートは、通常の製品より圧縮強度が高いため、セメント使用量の削減にもつながる。今後はCO₂の適切な添加量を把握や、強度の増進傾向などを詳細に分析するなどし、新たな配合設計やマーケティング手法を確立する考えだ。
カーボンキュア社は07年設立の環境テクノロジー企業。ビル・ゲイツ氏ら世界の富豪33人が共同で設立したファンドや、アマゾン・ドットコム系の環境ファンドが投資するほか、最近では三菱商事が同社への投資を明らかにしている。
会沢祥弘社長は「セメント由来のCO₂発生量は全体の8%前後を占める。セメント使用量をいかに戦略的に減らしていくかが脱炭素化の鍵になる」と話している。
(北海道建設新聞2021年3月5日付2面より)