LINEの不祥事

2021年03月23日 09時00分

 悪いオオカミが登場する昔話と聞いて、「赤ずきんちゃん」を思い浮かべない人は少ないのでないか。グリム童話の中でも最もよく知られた話の一つである

 ▼森の奥に住むおばあさんが病気で伏せっているため赤ずきんがお見舞いに行く。家に着くとおばあさんはベッドに寝ているが、妙に耳が大きい。赤ずきんが「どうしてそんなに耳が大きいの」と尋ねると、おばあさんは「おまえの声がよく聞こえるようにさ」。最大の山場は「どうしてそんなにお口が大きいの」との問いにオオカミが、「それはおまえを食べてしまうためだ」とほえて赤ずきんを一飲みにしてしまう場面である。親しさを演出してみせて、近寄ってきたらパクリ

 ▼そんな古くて新しい手口をほうふつとさせるのが、無料通信アプリ「LINE」(ライン)の事件だろう。手軽に連絡を取り合える便利さを売りにユーザーを増やしてきたが、氏名や電話番号、トーク履歴などの個人情報が中国企業の腹の中にも収まる仕様になっていたという。開発には韓国系企業が絡んでいたため当初から韓国への情報流出はうわさされていた。ところが先週発覚したのはより深刻な事実。運営会社がシステム管理を委託していた中国企業に個人情報を閲覧する権限を与えていた。中国企業の情報は中国当局の手の内にあるも同然だ

 ▼日本国内の利用者は8600万人に上る。近頃は国や自治体が行政サービスに採用する動きも広がっていた。確かに親しみやすく使い勝手もいい。「それは日本を食べてしまうためだ」。裏からそんな声が聞こえてきそう。


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