直接充電でエネルギー地産地消 寒冷地走行データも収集
出光興産北海道製油所は12日、苫小牧市の同製油所内に導入した構内移動用の超小型EV「ジャイアン」を公開した。カーボンニュートラル社会の実現に向け、EVに切り替えることで製油作業などで出るCOを実質削減する。
車両を提供するのは出光タジマEV(本社・東京)。出光興産(同)とタジマモーターコーポレーション(同)が、両社の持つ開発力とサービスステーション網を活用した新たなモビリティー社会の実現を目的として、1日に設立した。
22年には4人乗りの超小型EVの発売を予定し、今回の導入は寒冷地での蓄電性能テストを兼ねている。
運用するのは2人乗りの車両2台で、1回のフル充電で140㌔の走行が可能。車での構内の移動は月に100―120㌔とみていて、一度充電すれば1カ月走行できる計算だ。
充電には専用のカーポートを使用。屋根部分に出光興産の子会社、ソーラーフロンティア(本社・東京)の太陽光電池を備え、駐車するだけで無線給電できる。
カーポートとしては例が少ない、発電した電気を北海道電力の送電網を通さず直接充電できる仕組みを採用していることから、エネルギーの地産地消を打ち出している。
沢正彦所長は記者発表で「今後加速するカーボンニュートラル社会に対応するため、EVを導入した。寒冷地での走行データも収集し、次世代の開発に生かす」と話した。
同所がある苫小牧市も都市再生コンセプトプラン案の中でカーボンニュートラル社会の実現を表明。民間活力として、先進的な取り組みが期待される。(苫小牧)
(北海道建設新聞2021年4月14日付11面より)