現地のパームヤシ殻 今夏にも日本へ初出荷
中山組(本社・札幌)は、バイオマス燃料事業に参入する。マレーシアに設立したグループ会社を通じて、現地産のバイオ燃料、パームヤシ殻(PKS)を日本の商社向けに輸出する。現在ヤシ殻の調達を進めていて、早ければ8月にも初出荷する見通しだ。数年内に年間売上高2億円を目指す。環境分野でSDGs(持続可能な開発目標)への貢献を打ち出すと同時に、新たな収益源を育てる。
現地法人は「DAYA SYNERGY BORNEO」(ダヤシナジーボルネオ、DSB)で、2020年5月に設立した。資本金は100万リンギット(約2600万円に相当)。同名の日本法人が全額出資し、ボルネオ島北部にあるサバ州の州都コタキナバル市内に登記した。
日本法人は20年4月、廃棄物処理を手掛ける中山組子会社の環境エンジニアリング(本社・札幌)と、工場設備コンサルタントのKANZAI(同)が折半出資で設立。札幌市東区北18条東1丁目3の3に本社を構える。2法人の代表者は、環境エンジアリング社長で中山組取締役専務執行役員の滝沢秀樹氏が兼任する。
マレーシアでのパートナーとして、日本への輸出実績を持つバイオ燃料販売業、PERINTIS PROGRESIF(ペリンティスプログレシフ、本社・コタキナバル市)と業務提携した。昨秋までに、滝沢中山組専務や堀内俊幸KANZAI社長ら4人がペリンティス取締役に就任。同国でのバイオ燃料事業のノウハウを蓄積中だ。
DSBは昨年9月、ヤシ殻を最大1万5000㌧ためられる約6700m²の貯蔵施設を州南部タワウ市内に確保。ペリンティスの協力で、周辺の植物油工場などからヤシ殻の調達を始めた。近隣の河川を経由して運搬船でタワウ港に殻を運び、日本行きの本船に積み込む。輸出は当面1万㌧を目標とする。
日本国内では12年に固定価格買取制度(FIT)が始まり、道内でもバイオマス発電所が増えている。燃料需要は今後も高まる見通しだ。
(北海道建設新聞2021年4月19日付1面より)