本郷猛と一文字隼人。この二人の名前を聞くと胸が躍るかつての少年は多いだろう。言わずと知れた『仮面ライダー』(石ノ森章太郎原作)の1号、2号である。特撮ヒーローテレビドラマの放映開始が1971年4月だから、今月でちょうど50周年を迎えた
▼昆虫や動物の特徴を備えて改造された怪人はどれも醜く恐ろしい。第1話に登場した「蜘蛛男」の気持ち悪い姿が、目に焼き付いて離れない人もいるのでは。第2話の怪人「蝙蝠男」もかなり不気味だった。コウモリならではの鋭い牙で攻撃するのだが、本当に恐ろしいのはその先。人間にかみついて人工ウイルスを植え付け、意のままに操ることができたのである。ショッカーはそれで人類を征服しようと企んだのだ
▼新型コロナウイルスも中国の武漢でコウモリの媒介によって人間に感染した可能性が高いとされている。人工ウイルスではないにせよ、50年前に今と符合する状況が設定されていたことに驚く。感染症の怖さが分かっていたに違いない。新型コロナは瞬く間に世界中に広がった。まだ終わりは見えない。一時は押さえ込んだかに思えた日本も今は第4波の真っただ中だ。大阪府はきのう、政府に3度目の緊急事態宣言発令を要請。東京都も再要請を検討していると聞く
▼とはいえ宣言が仮面ライダーのようにウイルスを倒してくれるわけではない。コロナ対応の医療関係者だけに頑張らせてよしとするわけにもいかない。3密回避と手洗いの励行、感染を広げない行動を武器に自分も他人も守る。一人一人がヒーローにならなければ。