こんな広告いやだ

2021年05月13日 09時00分

 地方に住む若者が田舎の何もなさを大げさに並べ立てた『俺ら東京さ行ぐだ』(1984年、吉幾三作詞作曲)は、吉さんの人気を不動のものにした一曲だった

 ▼「テレビも無エ ラジオも無エ 自動車もそれほど走って無エ ピアノも無エ バーも無エ 巡査毎日ぐーるぐる」。さすがにそんなわけはないのだが、この虚実入り交じったところが面白い。そして次の言葉を繰り返すのだ。「俺らこんな村いやだ~」。大笑いしながら、都会に憧れる若者の心情にも共感させられる。実によくできた歌でないか。それに引き換えこちらは似たような筋書きなのに共感できるところがなかった。宝島社が11日付で朝日新聞など大手3紙に載せた派手な見開き全面意見広告の話である

 ▼女の子たちがなぎなた訓練をしている戦前の写真の中央に大きな赤いウイルスを配して全体を国旗に見立て、こんな主張を添えていた。「ワクチンもない。クスリもない。タケヤリで戰えというのか。このままじゃ、政治に殺される」。なぎなたをタケヤリと誤認しているのもどうかと思うが、何より「ワクチンもない。クスリもない」が事実に反する。接種計画に課題はあれど国民に必要な分のワクチンは確保できる見通しだ。医療従事者は必死の努力で既存の薬を駆使した治療方法を編み出した

 ▼これでは〝事実もねエ 証拠もねエ おじさん床屋談義でぐーだぐだ 俺らこんな広告いやだ~〟となりかねない。樹木希林さんを起用した優れた広告で知られる宝島社である。笑いながら予防意識も高められる発信ができたろうに。


ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • オノデラ
  • 日本仮設
  • 東宏

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,412)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,275)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,244)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,121)
藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (841)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。