童話は子どものころに触れる機会の多い読み物だが、大人になってからの方が中身を深く理解できることも多い。『青い鳥』(メーテルリンク)もその一つだろう。チルチルとミチルの兄妹が幸せの青い鳥を探して旅をする物語である
▼二人は〝思い出の国〟や〝夜のごてん〟、〝未来の国〟を訪れ、いったん捕まえはするものの、国を出ると色が変わったり死んでしまったり。とうとう見つけられないまま家に戻る。ところが家の鳥かごをのぞいてみると、そこにはあれほど求めていた青い鳥の羽が―。遠くを旅しても見つからないはずである。幸せは身近にあったのだ。人生経験を重ねると現実の生活にもそんな例が少なくないと気付く
▼人騒がせな話だが、こちらも近隣住民がほっとしたという点ではある意味、幸せと言っていいのかもしれない。横浜市のアパートから逃げ出し、大人数による周辺の大捜索にもかかわらず行方が分からなかったニシキヘビが、16日ぶりに当のアパートの屋根裏で発見された。いくら外を探しても見つからないはず。頭の上にいたのだ。換気のため窓を開けておいたと飼い主が話したため、外に出たと考えられていたのである。体長3・5mのニシキヘビに巻き付かれると大人でも簡単に窒息するとあって、警察や消防が出動して大捕物になっていた
▼周辺をくまなく調べ、万策尽きて振り出しの家に戻るとそこに求めていたヘビの姿があったというわけ。見つけたのは日本爬虫類両生類協会理事長の白輪剛史という方だったそう。やはり長年の経験がものをいったようだ。