企業立地コロナで激減 20年度道内は62件

2021年06月01日 10時00分

計画先延ばしや見直しの動き

 道経済部のまとめによると、2020年度の企業立地件数は62件で前年度の94件から激減し、11年度と同水準になった。新型コロナウイルス感染症の影響で、計画先延ばしや見直しの動きがあったことが要因。道外企業の進出は4割減の18件だった。一方、コロナ禍の中でサプライチェーン再編や、デジタル・トランスフォーメーション(DX)、脱炭素化の動きが加速。道では今後、こうした動きを捉え再生可能エネルギーを活用したデータセンター、未来技術の研究開発・製造拠点の誘致などに力を入れる考えだ。

 道内の立地件数は、リーマンショックで落ち込んだ09年度の44件を底に回復傾向にあった。しかし、20年度は新型コロナの影響を受け自動車産業では新車需要が冷え込み設備投資が落ち込むなど、加工組立型工業の立地がわずか4件と停滞。また、ここ数年20件以上あったリスク分散が目的の立地も17件にとどまった。

 主な進出状況を見ると、リスク分散の面で、ユニシス(東京)はこれまで輸入していた人工鼻の安定供給を図るため北広島市に製造拠点を建設する。茶・コーヒー製造のルピシアは東京からニセコ町に本社機能を移転した。加工組立型工業では、京都セミコンダクター(京都)は恵庭市に半導体製造拠点を増設した。

 食品工業はコロナ禍でも本道の豊かな食資源や冷涼な気候に着目して立地が進み、前年度と同数の24件。長沼町の廃校を利用して工場を新設する「カルディコーヒーファーム」のキャメル珈琲(東京)や、岐阜県から東川町に酒蔵を移転した三千桜酒造などが該当する。

 産業支援サービス業は、美唄市にデータセンターを開設した共同通信デジタル(東京)、旭川市にサテライトオフィスを設けたITシステム開発のビックボイス(同)など13件だった。

 企業立地件数は、28日に開かれた北海道企業誘致推進会議の総会で報告した。山岡庸邦経済部長は感染拡大を受けて、「リスク分散の視点が多様化している」と指摘。道として自然災害回避や人材確保など従来からの優位性に加え、サプライチェーン再編や感染症対策、脱炭素化対策の適地という新たな優位性を企業誘致につなげていく考えを示した。

(北海道建設新聞2021年5月31日付1面より)


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