ジグソーパズルが好きな人は案外多いのでないか。おもちゃ売り場やホームセンターの一角にいつも少なからぬ数が置かれている。根強い人気があるのだろう。当方も以前、凝ったことがあった。慣れるとどんどんピースの多い難しいパズルに挑戦したくなるものだ。できたときの達成感がたまらない
▼こつは先に枠を作り、残りのピースを色や形でまとめたら、後は分かるところからひたすら組んでいくことである。中には「右側から順に埋めていかねば気持ちが悪い」という人がいるかもしれない。進め方に決まりはないが、かなり時間が掛かるのを覚悟せねばなるまい。どこであれピースが一つ決まると、それだけ完成に近付くのである
▼新型コロナワクチンの接種にも同じことがいえよう。このところ接種状況は加速しているものの、悪平等主義にとらわれた偏屈な人も一部いるようだ。「必ず年齢順で」「自治体間に差があってはならない」「特定の会社だけ先にするのはおかしい」といった具合である。自治体手配のかかりつけ医、国担当の大規模会場に続き、職場での接種も始まる。〝いつでもどこでも〟の態勢が整う望ましい形だが、そこでしゃくし定規な手法にこだわるのは百害あって一利なし
▼ワクチンの狙いは個人の守りとともに集団免疫の獲得だ。重症、死亡リスクの高い高齢者を優先してはいるものの、年齢や職業、居住地問わず一人でも多く接種を済ませればそれだけ感染収束に近付く。ジグソーパズル同様、誰もが大切なピースである。1日も早く完成させ、きれいな絵を見たい。