既存老朽プラント建て替え、改修よりも安価
道内で自走式や移動式と呼ばれる破砕機の導入が広がっている。定置式砕石プラントの補助で活用するほか、建設副産物のコンクリート塊を再生骨材用に処理したり、水産系副産物の貝殻を肥料として有効活用しようとする動きが出ている。既存の老朽プラントを建て替えたり改修するよりも安価な上、さまざまな現場で転用できるため、将来を見据えた設備投資の一環として導入する企業が多い。
自走式破砕機は、骨材やコンクリート塊、鉱物資源などを細かくするための機械。クラッシャーと呼ばれる機械で破砕後、砕石業のように粒度(石の大きさ)を整えたい場合はスクリーンと呼ばれる「ふるい」で、製品を選別する。
自走式のため、一般的な定置式プラントのように建屋基礎を設置しなくて済む。採石場で使う場合、山の切り羽から近い場所に設置すれば、重機で原石をクラッシャーまで運ぶ中継工程がいらなくなり、効率よく骨材を製造できる。
海外製では、栗本鉄工所(本社・大阪)が米国・テレックス社の自走式コーンクラッシャーを販売し、宇部興産機械(同・山口県宇部市)もフィンランド・Metso社製のロコトラックを扱う。国内はコマツのガラパゴス、日本キャタピラーのQJ241、日立建機のジョークラッシャZRシリーズがある。
アスファルトプラントメーカーの日工(本社・兵庫県明石市)が国内総代理店として扱うドイツ・KLEEMANN(クリーマン社)の自走式クラッシャーは、道内で7機の導入実績がある。ディーゼルエンジンで駆動し、軽油の使用量が1時間当たり10㍑前後と低燃費なのが人気の要因だ。
他社製品の多くが油圧駆動なのに対し、クリーマン社の機械はディーゼルエンジンで作った力をベルトで可動部へダイレクトに伝えるため、ロスが少ない。硬い石を楽々割れる破砕力も特長。摩耗部に高硬度・高靱性鋼板のHARDOX(ハルドックス)400を使い、高い耐久性も特長だ。
ハラダ工業(本社・留萌)は、クリーマン社のユーザーとして2シーズン目。自走式クラッシャーのMC100R(i)EVOに自走式スクリーンMS13Zを合わせ、破砕から粒度選別まで一貫生産している。昨シーズンは使用データを日工に提供するなど、製品改良の側面でも一役買っている。
17日は札幌砕石事業所で、留萌の大和田砕石事業所で採れる安山岩、沼田の幌新砕石事業所で採れる玄武岩を原石に、道路工事などで使われるクラッシャーラン(切り込み砕石)が作れるか試験した。粒度40―0㍉と80―40㍉の切り込み砕石を生産。両事業所とも従来は径の大きい割栗石の生産がメインで、切り込み砕石を作ることで製品のバリエーションを増やし、幅広い現場ニーズに応える考えだ。
若松伸一常務は「玄武岩は硬いため破砕できるか心配だったが、大和田、幌新の石とも粒度が安定していて、製品に使えそう」と手応えを感じている。
(北海道建設新聞2021年6月23日付2面より)