天下分け目の戦い

2021年07月02日 09時00分

 その後の国の命運を大きく左右する戦いというものが日本の歴史の中でも幾度かある。豊臣秀吉亡き後に徳川家康率いる東軍と、反家康で結集した西軍がぶつかった1600年の関ヶ原の戦いもその一つ。「天下分け目の戦い」と呼ばれた

 ▼近代では日露戦争で当時世界最強だったバルチック艦隊を撃破した日本海海戦だろう。旗艦〈三笠〉が掲げたZ旗の信号文「皇国の興廃この一戦にあり」はあまりに有名である。大げさなのは重々承知だが、今の日本にとってはこの7月が新型コロナウイルスとの戦いの大きな節目となるのでないか。全国へ波及する懸念が格段に大きい東京の新規感染者数の増加がこのところ著しい。6月30日には5月26日以来、ほぼ一カ月ぶりに700人を上回った

 ▼一方、ワクチン接種は政府と自治体、職域合わせて1日当たり全国で100万回を超え、きのうまでに累計4500万回以上を達成。このペースを維持できれば今月中に少なくとも8000万回の接種を終えられる計算だ。ウイルスとワクチン、峠を挟んで両陣一歩も引かぬ態勢でにらみ合っている状況だろう。少し前まではワクチン側やや優勢と考えられていたものの、感染力の強いデルタ株の急拡大と、海外から人が流入する東京五輪の開催で戦いの行方は混沌(こんとん)としてきた

 ▼とはいえ今はワクチンを武器に休むことなく攻め続けるだけ。感染しても重症化しないのなら医療への負担は軽くなり、経済も回せるようになる。日本の興廃この7月にあり。もちろん最前線で戦うのはわれわれ一人一人である。


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