4746カ所を基本に想定
静岡県熱海市の伊豆山地区で発生した土石流災害を受けて、鈴木直道知事は5日、庁内関係部局に対して道内に同様の危険箇所がないか調査するよう指示したことを明らかにした。建設部によると、現在のところ調査対象箇所は、道内で土砂災害警戒区域指定に向けて実施した基礎調査の完了区域のうち、土石流の危険性がある4746カ所を基本とすることを想定。調査方法などを固めて、早急に危険箇所のリストアップを進める考えだ。
土石流は3日午前10時半ごろ発生。静岡県の発表によると、逢初(あいぞめ)川の最上流部である標高約390m地点(海岸から約2㌔上流)から同川を流下した土石流が、延長約1㌔、最大幅約120mにわたって被害をもたらした。熱海市の調査では被害地域は約12万m²に上り、建物約130棟が被害を受けたという。
県警や消防などは5日も行方不明者の捜索を進めていて、県と国土交通省中部地方整備局は、谷の最上流部などでの調査や応急復旧活動を展開した。
甚大な被害状況が伝えられる中、鈴木知事は「土砂災害をはじめとする大雨に伴う災害リスクは道内にもある」と指摘。上流部に盛り土がある地域や下流部に住宅地がある地域など、同様の災害が懸念される箇所の調査を総務部危機対策課や建設部に指示した。
建設部では土砂災害警戒区域の指定に必要な基礎調査を1万1807カ所で終えていて、そのうち土石流発生の可能性がある区域を基本に調査する考え。調査方法は検討中だが、まずは文献調査を進めるとみられる。
同部の木村英也施設保全防災担当局長は「どんなメカニズムで土石流が発生したかまだ不明だが、その原因究明を横目に見ながら、道内における同様箇所のリストアップと必要な対策を講じていく」と述べた。
土石流の原因は県が調査中。ただ、土砂崩落が起きた逢初川の最上流部で、過去の開発行為で約5万m³の盛り土により谷が埋められていた事実を発表していて、盛り土の目的や土石流との関係を調査するとしている。
(北海道建設新聞2021年7月6日付1面より)