子どものころは「ウルトラマン」や「仮面ライダー」といった特撮ヒーローに憧れていたが、大人になってわが子と一緒にその手のテレビ番組を見るとつい笑ってしまう。〝わかる〟とうなずく人も少なくないのでないか
▼ここぞという場面で一撃必殺の技を繰り出し、入れ代わり立ち代わり襲ってくる怪人や怪獣をバッタバッタとなぎ倒す。ヒーローの強さが度を越しているし、話の展開も都合が良すぎるのである。そんなすごいヒーローは空想の世界にしかいない。大人なら誰もが知る事実だろう。ところが最近、ほら話としか思えないほど現実離れした活躍を見せてくれる人がいる。米大リーグ、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手だ
▼打席に立てば必ずホームランをかっ飛ばし、4日までの通算31号は両リーグ単独トップの成績。シーズン前半で松井秀喜さん(ヤンキース)の持つ日本人年間最多記録に並んだ。強さが度を越している。これが物語ならご都合主義が過ぎると笑われてもおかしくない。何せ6月28日のヤンキース戦から7試合で打った安打が全てホームランである。合間には投手としてマウンドに上がり、またある時には果敢に盗塁も決める。その上、人柄も絶賛されているというのだから感心するほかない
▼来週開催されるオールスター戦ではファン投票で指名打者に選ばれ、スタメン入り。選手間投票でも先発投手の一人に選ばれ、大リーグ史上初の「投手兼指名打者」で登録された。それが日本人なのである。大谷選手、実は君、空想の世界から抜け出してきたのではないか。