まん延防止措置解除
本道に適用されていた「まん延防止等重点措置」が、あしたいっぱいで解除される。それで生活が劇的に変わるわけではないものの、長い冬がやっと終わりに近づいてきた気がしないでもない
▼「屈みては見上げては春確かめぬ」那須野房子。実際の季節は既に夏だが、ようやく春が来たようなものだろう。新型コロナウイルスのせいで、感染拡大だ緊急事態だワクチンだと、季節をしみじみ感じる間もありはしない。振り返れば本道も5月9日に札幌がまん延防止の対象となったのを皮切りに、6月1日からの全道への緊急事態宣言とその延長、まん延防止への移行と身動きを制限される日々が長期に及んだ
▼多くの感染者と家族が苦しんだのはもちろん、飲食や観光を中心に生活の糧を奪われた人も少なくない。学校での対面授業がなくなった子どもや若者は、友人らと関係を深める機会まで奪われた。いつまでもこんな状態を続けるわけにはいかない。破綻や貧困、自殺といった大きな影響は遅れて出るのだ。ただ、札幌市に関しては当面、引き締めを全面解除せず、各種要請は様子を見ながら徐々に緩めていく方針という。減っていた感染に反転の兆しがあり、ワクチン接種がまだ十分に進んでいない今の本道では仕方あるまい。弱い立場にある人へは一層の目配りをしてもらいたい
▼とはいえしばらく会えずにいた祖父母の家へ気軽に行ける日もきっとそう遠くない。伊舎堂仁さんの一首を思い出す。「ばあちゃん家いきたくならない? 冬に窓あけてソーセージゆでてたら」。もう少しの辛抱だろう。