苗穂に食のDX拠点 アイビック食品が9月オープン

2021年08月04日 10時00分

香り発生装置など 「五感」刺激する仕掛け

 外食産業や食品メーカーにだし、たれなどを製造販売するアイビック食品(本社・札幌)は9月、食のDX拠点施設「北海道みらいキッチンGOKAN」を苗穂町の本社にオープンする。自社や顧客、関連企業などが食の情報発信をする空間だ。試食会や写真撮影、動画配信やSNS発信など多様な用途を想定。最新調理家電を備えるキッチンスタジオや撮影機材のほか、プロジェクションマッピング、香り発生装置など「五感」を刺激する仕掛けを用意する。

視覚や嗅覚など五感を刺激する仕掛けで食の情報発信を促す

 同社は食品のOEM企業ながら、製造にとどまらず販売戦略や販路確保などの面で顧客サポートに取り組んでいる。今回の施設も販売サポートの一環だ。牧野克彦社長は「ビジネスマッチングなど、訪れた人が何かプラスを得られる場にしたい」と意気込む。

 白を基調とした空間の一角には、1台で壁4面に投影するプロジェクションマッピングシステムを置く。例えば顧客がアウトドアでのバーベキュー調味料を開発中の場合、草地のバーベキュー風景を映しながら試食や打ち合わせをするという使い方ができる。複数の香りを発生させる装置も置き、映像に関連する香りも体感できるようにして嗅覚への刺激も図る。

 大きなサイネージを活用した市場調査も想定する。小売店舗の食品棚を映しながらサイネージ前のアクリル棚に商品を置くと、店舗陳列時の様子がイメージできる仕掛けだ。包材や容器といったコンセプトに特化した展示棚も置き、利用者の商品開発を支援する。

 スマートフォンで色を自由に調整できる照明も導入し、光が食欲や食品の見栄えに与える影響を確かめられるようにする。遠藤照明(本社・大阪)の同製品を導入するのは国内初だという。

 このほか、仮想現実(VR)空間の自社店舗や商品をスマホで写すと立体映像などが表示される拡張現実(AR)も開発中だ。これらは未来を見据えた先行投資の面も強い。牧野社長は「将来の流通業でVRやARはより重要になる。その際に当社が早くから着手していたと評価されることが大切だ」と話す。

 フェイスブックでグループをつくるなど、社外の知見も募りアイデアを練った。GOKANの命名は、グループにも参加するトリプルワン(本社・札幌)の伊藤翔太社長だったという。

 発想のきっかけは、18年に合弁会社を設立した中国で見たカーペットの巨大展示場だった。床から壁まで敷物が並ぶ光景に「こんな場所をつくりたい」と刺激を受けたという。

 本社3階のスペース(226m²)を改装中。設計はDesign team Muto(札幌)、改装はアイ・エム・コーポレーション(同)が担う。食に特化した最先端の施設が、北海道の食品業界に与える刺激に期待がかかる。

(北海道建設新聞2021年8月3日付3面より)


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