売れ残り食品を店舗で受け取り 260店が参加
フードシェアリングサービス「プラスフード」の利用が札幌市内で広がっている。月額料金を支払い、小売店や飲食店が出品した売れ残りの食品を店舗で受け取れるサービスだ。参加店舗は徐々に増え、今は市内を中心に260店を数える。食品ロス削減を通じた地域貢献を目指す事業だ。
フードシェアリングは、小売店や飲食店で売れ残った食品を消費者とマッチングして食品ロス削減につなげる取り組みだ。自治体と連携する有力事業者の例もある。
プラスフードを運営するのは衣料品卸の竹栄(本社・札幌)だ。ネット販売の経験を生かした新事業に取り組みたいと、昨年1月に始めた。
利用は月額料金を支払うサブスクリプション型だ。1078円(税込み)で月10回まで受け取れるライトプランなど、回数に応じた4プランを用意する。利用者はウェブサイトで食品を予約し、指定時間に店舗で受け取る。お金のやりとりはない。
現在の利用者は約200人。主な層は40代ほどの女性だが若い世代や高齢者世代も使う。出品と利用者のマッチング率は毎月90%程度と高い。事務局の田尻敏憲プロジェクトリーダーは「日中に車で移動できる人がうまく受け取れる状況」と話す。食品を寄付に回す人もいるという。
加盟店はパン屋やカフェ、居酒屋など多様だ。初期費用や出品料は無く加盟コストはゼロで、売れ残りが出そうなときに出品すればよい。マッチング数に応じた分配金が竹栄から支払われる。食品ロス削減に貢献しながら、費用ゼロで店を知ってもらえるのが加盟メリットだ。
事業の売り上げは月に約30万円。うち40%を店舗に分配し、5%は札幌市子ども未来局に寄付している。残り55%は事務局やシステム維持費に回るが、サイト構築や店舗募集の先行投資を回収するにはまだ時間がかかる状況だ。
田尻プロジェクトリーダーは「事業の主眼はあくまでもフードロス削減と寄付を通じた地域貢献」と強調する。高いマッチング率を踏まえ、加盟店をさらに増やしたい考えだ。
札幌市によると、市内の家庭からは年間約2万㌧の食品ロスが発生していて、4人家族に換算すると年間2万3000円分だという。食品ロス削減はSDGs(持続可能な開発目標)で重要目標の一つになっている。
(北海道建設新聞2021年8月6日付3面より)