東京オリンピック閉会式の開始とほぼ同時、8日午後8時過ぎに台風9号が鹿児島県枕崎市付近に上陸した。大会に気を遣って力を抑えていたわけでもあるまいが、その後の暴れ方はすさまじい。大雨と強風を伴い、中国地方から北陸、関東と広い範囲に大きな被害をもたらした
▼9日に温帯低気圧に変わったものの、影響力は残したまま。きのうは青森県七戸に命の危険がある警戒レベル5が発令されるほどだった。本道も例外でなく、特に南部では24時間で300㍉の大雨が降り、予断を許さない状況が続く。一方で台風一過の関東周辺では軒並み今夏最高の暑さを記録したという。ほとんどの人が肌で感じているだろうが、雨にせよ暑さにせよ近年は極端に振れることが多い
▼国連の専門機関が9日、満を持してその現象を裏で操っている真犯人を公表した。「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)が、8年ぶりにまとめた報告書で初めて〝地球温暖化の原因は人間活動にあり〟と断定したのである。何を今さらというなかれ。トランプ前米大統領が地球温暖化説に疑いの目を向けていたように、信じない人はいまだ世界中にいる。今回の結論はそんな論争に決着を付けるものだった。意義は大きい
▼IPCCは言う。温暖化が進むと熱波や大雨といった極端な現象が増強される。対策を今始めても今後20年で世界の平均気温が1・5度上がるのは止められない。それでも未来のために即刻温室効果ガス削減に手を付ける必要がある。呼び掛けを無視する選択肢はない。毎日の天気がそれを教える。