三笠市が石炭採掘跡へのCO₂固定事業で調査に着手 

2021年08月26日 10時00分

ヤフーの企業版ふるさと納税の寄付先に選定 寄付金を活用

 三笠市は、石炭採掘跡へのCO固定事業で、ヤフー(本社・東京)が「カーボンニュートラル」をテーマに公募した企業版ふるさと納税の第1弾寄付先に選ばれた。全国から8つの地方公共団体が選ばれ、道内では三笠市のみ。寄付額1億円を活用した実証実験に向け、10月にも調査に着手する見通しだ。

 三笠市の地中には、石炭の採掘によって生じた空洞が数多く存在。事業はそのような採掘跡にCOを圧入(CCS)、COスラリーを圧送(カーボンリサイクル)する実験をすることで、産炭地での新たなCO2固定技術の確立に向けた研究を産学官で進める。

 室工大大学院の板倉賢一特任教授や浜幸雄教授、NPO地下資源イノベーションネットワークの出口剛太理事長、ファルコンの山本英樹営業部長、応用地質社会インフラ事業部の遠藤司副事業部長、岩田地崎建設環境ソリューション部の橋本綾佳主任、地圏総合コンサルタントの佐渡耕一郎事業本部長らが市に協力する。

 三笠市は現在、大学などの研究機関と連携し、石炭と木質バイオマスとのガス化を組み合わせた技術(H―UCG)によって水素を製造する研究開発を進めている。CO固定事業では、H―UCGや工場などから排出されるCOを地中に固定し、カーボンニュートラルを実現。H―UCGによる空洞や閉山炭鉱の採掘跡にできる地下岩盤構造を強化し安定を図る。

 具体的には、閉山炭鉱採掘跡などにCOを1日当たり最大4㌧を10日間程度注入し、適正な注入圧や量などを把握。地中固定を確認して実用性を実証する。COスラリーの鉱物化によって半永久的に地下岩盤構造を強化するとともに、本モデルを各産炭地に水平展開させる。

 H―UCGの実用化は2028年度を目指している。豊富な地域資源である石炭から水素を生産する過程でカーボンニュートラルにする世界初の地産地消エネルギー事業の確立を図ろうとしている。

 ヤフーはことし1月、企業版ふるさと納税の寄付先となる地方公共団体を公募する取り組み「Yahoo!JAPAN 地域カーボンニュートラル促進プロジェクト」を発表し、4月1日に公募を開始。審査のポイントは、①脱炭素に対する直接的なインパクト②独自性・地域性③横展開可能なモデル―の3項目で、三笠市以外では、宮城県、埼玉県、神奈川県平塚市、新潟県、山梨県、三重県尾鷲市、鹿児島県大崎町が選ばれた。


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