仲間が集まって手軽に遊べるテーブルゲームといえば、まずトランプの名が挙がるのではないか。ババ抜き、7並べ、大富豪―といろいろ楽しめるのが魅力である
▼中でもポーカーが一番好きという人も少なくあるまい。「ルールは5分で覚えられるが、極めるには一生かかる」との言葉があるくらい単純だが奥の深いゲームである。トランプの中でも特に駆け引きの要素が強いブラフの技術が求められるからだろう。ブラフとはうそのこと。簡単にいうと自分の役が最弱でも強い役を持っているふりをし、相手が場から降りるよう仕向けて勝つ技である。素人には少々難しいものの、これで勝つと〝してやったり〟の思いがあって実に気分がいい
▼ギャンブルに絡む事件だけに、この人も盛大にブラフをかけてみたのかもしれない。秋元司衆院議員である。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)を巡る汚職事件で自身の無罪を強く主張したが、東京地裁に意見をことごとく退けられ、7日に実刑判決を受けた。収賄と組織犯罪処罰法違反で懲役4年である。裁判長は特に秋元議員が保釈中に手を染めた証人買収について「最低限の順法精神すら欠如している」と断罪。反省を求めた
▼秋元議員も贈賄側の中国企業から金品などを受け取った事実は大筋で認めている。ただ、それは賄賂でなかったと反論しているのだ。当時IR担当の内閣府副大臣だったことを考えると言い訳として苦しい。ポーカーにはこんな言葉もある。「降りない相手にはブラフするな」。秋元議員は即日控訴したが、さてどうなるか。