木のぬくもり感じて健やかに
木のぬくもりを感じる建物で、心も体も健やかに温かく育って―。
日本赤十字社の認定こども園釧路さかえ保育園(山本久美園長)は、昨秋から建設を進めてきた新しい園舎を21日に供用する。
新園舎の規模はW造、2階、延べ863m²。1階中央に配置した吹き抜けのホールは天井が高いため面積以上に広い印象を与え、木材を目立たせることで温かみを感じさせる。主に遊戯スペースとなるが、入卒園式などの行事にも活用できるようステージを備えた。
1階にはこのほか3歳児以上用の保育室3室、職員の事務室、給食調理室などを配置。廊下と給食調理室を隔てる壁には低い位置に窓があり、調理の様子を子どもたちに見せることで食育の効果も狙う。
緩い階段を上った2階には1―2歳児用の保育室3室と0歳児用の乳児室兼ほふく室などを設け、吹き抜け周囲の窓からは1階のホールを見下ろせるようになっている。
1階は「森」、2階は「空」をイメージ。1階の壁には樹木や切り株、リス、ウサギ、シカなどの動物たちが描かれ、保育室からトイレまでの動線を動物の足跡で示した。2階には山や気球、太陽などをデザインし、天井には所々に薄雲を浮かべた青空が広がる。
各階とも園児が出入りする部屋のドアには低い位置まで取っ手を付けた。一方、職員ら大人しか出入りしない部屋やロッカーは取っ手や鍵の高さを手の届かない位置に設定するなど安全面に配慮した。
釧路市幸町11丁目1の1にあった1970年完成の旧園舎(RC造、2階、延べ751m²)が老朽化したため、現地建て替えに踏み切った。
設計は武田建築設計が担当し、施工は一括で昨年9月に一般競争入札で宮脇土建が落札。旧市立城山保育園(釧路市城山1丁目15の14)を仮園舎として移転し、旧園舎の解体を終えた11月に着工した。
横田孝征事務長は「思っていた以上に木のぬくもりが感じられる施設になった。この中で温かい心を持った強い子どもに育ってほしい」と期待する。(釧路)
(北海道建設新聞2021年9月21日付7面より)