世界的な需要逼迫警戒感
原油価格の高騰でガソリンや灯油、ストレートアスファルトといった石油製品が軒並み値上がりしている。ガソリンの全道平均価格は1日現在で168・6円と7年ぶりの高値にある。灯油の販売価格も3年ぶりの3桁台に突入。道路舗装で使うストレートアスファルトは春先や10、11月と値上がりしたほか、12月も価格上昇する見通し。工事業者の適正利益を圧迫する要因となりそうだ。
新型コロナウイルス危機からの景気回復に伴うエネルギー需要増や、産油国による生産抑制を背景に、世界的な需給逼迫(ひっぱく)への警戒感から原油先物相場が高騰している。ニューヨーク商業取引所の米国産標準油種WTIは10月、1バレル当たり85・41㌦に一時上昇し、2014年10月以来7年ぶりに85㌦台に乗せた。
道内のガソリンや軽油価格も高止まりしている。資源エネルギー庁のまとめによると、1日現在のレギュラーガソリンの全道平均価格は168・6円で前週より1・6円上昇した。値上がりは9週連続。軽油は151・6円で1・8円上昇。軽油価格が150円台を付けるのは、イラク情勢が緊迫化した14年7月以来だ。
灯油価格も右肩上がりにある。全道平均は店頭売り106・4円、配達売り108・7円で、いずれも前週から4円余り上昇した。市場影響力のあるコープさっぽろが1日から1㍑当たり11円値上げし、市況の底上げが進んだとみられる。
道路舗装で使うストレートアスファルトの価格も高騰している。石油元売りの特約・販売店向け卸価格は10、11月と上昇し、12月も値上がりが見込まれている。
最大手のENEOSは10月で1㌧当たり1000円、11月は6000円を値上げした。12月も3000円から4000円の改定が想定されている。21年度は春先から値上がりが続き、4月から11月までに合計2万4000円上昇した。
石油輸出国機構とロシアなどの産油国で構成する「OPECプラス」は4日、原油の追加増産を見送った。道内の大手特約店は「ガソリン、ストアスとも高止まりの状況が当面続きそう」とみる。
経済調査会の積算資料によると、道内のアスファルト合材の取引価格は、ストアス値上がり分のコスト転嫁を反映し、9月市況を表す10月号で改定した。おおむね750円値上がりし、密粒度ギャップ(13F)で1万4550円を付ける。
道路舗装会社の採算性に直結するだけに、10月以降のコスト上昇はゼロ国債など年度末発注の設計価格で、どう扱われるかが当面の焦点となりそうだ。
(北海道建設新聞2021年11月9日付3面より)