旧宮北邸の保存を検討 旭川市

2021年11月24日 15時00分

歴史・文化伝える遺産に

 旭川市教育委員会は旧宮北邸の保存を検討している。木骨石造の2階建て、延べ200m²の建物で、西洋風のデザインや美瑛軟石の活用など歴史・文化的価値が高い。築100年以上が経過して屋根や内部の劣化が著しいことから、改修して利活用することを視野に入れている。

開拓時代の趣を残す旧宮北邸

 同邸は9条10丁目にある石造の西洋風建築。永山に入植し、木材販売などさまざまな事業を手掛けた宮北秀吉氏が1915年ごろに私邸兼事務所として建設した。

 外観は石造だが、柱や梁といった構造は木造という木骨石造方式で建設。開拓時代の倉庫建築に多く用いられた方式だ。

 途中で勾配が急になるマンサード屋根で、半円状の切妻、アーチ型の窓、付け柱など随所に西洋風のデザインが取り入れられている。外装の石材は建材として全道に出荷されていた美瑛産の軟石。上川地方の産業の歴史を残す遺構にもなっている。

 法務省が土地を含めて所有。市教委が埋蔵文化財の資料や発掘資機材などを置く倉庫として80年から賃貸していた。市民団体の保存要望などを受け、2020年12月に取得した。

 内部は雨漏りで壁や天井が傷んでいるほか、電気や上下水道などの設備がない。内部公開も視野に入れて利活用方法を固め、必要な修繕を施す考えだ。市教委の担当者は「大正時代の貴重な建物。残す方法を検討したい」と話す。

 旧宮北邸をめぐっては、「旭川の歴史的建物の保存を考える会」が3Dモデルの製作やパンフレットづくりなど、魅力や価値の発信を通して文化財としての保護を求めている。軽部望会長は「旧宮北邸は、会が発足するきっかけとなった建物の一つ。市の誇る文化、歴史的遺産として守ってもらいたい」と期待している。

(北海道建設新聞2021年11月22日付8面より)


関連キーワード: 上川 歴史的建造物

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • オノデラ
  • 東宏
  • 北海道水替事業協同組合

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,414)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,313)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,294)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,096)
藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (994)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。