車のEV化

2021年11月24日 09時00分

 真冬に人里離れた所で車が立ち往生したらどうしよう―。そう考えたことのある人も多いのでないか。雪に閉じ込められ死亡した例も現実にある。本道や東北では切実な問題だろう。雪国で電気自動車(EV)が不安視されるのはそんな事情もあるに違いない

 ▼日本自動車連盟(JAF)の会報誌『ジャフメイト』12月号に興味深い記事を見つけた。EVが雪で長時間立ち往生したときの過ごし方を調べたものである。マイナス7度前後の屋外、電力残量70%でテストを実施。エアコンを25度でつけ続けると残量は5時間で38%まで落ちたそうだ。電気毛布のみで暖をとる方法だと66%に抑えられたが、なんとか寒さに耐えられる程度だったらしい。排気ガス中毒の心配はないものの、廃熱を利用するエンジン車に比べ暖房能力は低い

 ▼冬になったからといって、車に毛布や防寒着を積み込んでおく人は少なかろう。エンジン車はいわばストーブを積んで走っているようなもの。積雪寒冷地ではやはり安心感が違う。今回の国連気候変動枠組条約締約国会議「COP26」では2040年までに全ての新車販売をEVなどにする目標も示されたが、日本は参加を見送った。ほっとしたというのが正直なところである。米国やドイツも同じ対応だった

 ▼自動車を主要産業に据える国ほど、短兵急な全面EV化の痛手は大きい。昨今の動きはそれを武器にした経済戦争の趣さえある。CO₂削減をてこに国連を巻き込み、一国の産業や技術、雇用をつぶそうとするのはいただけない。雪国の住民にとっては命にも関わる。


ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 東宏
  • 古垣建設
  • 日本仮設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,469)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,309)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,177)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,111)
函館開建が国道5号の常盤川交差部に橋梁新設の可能性...
2024年04月17日 (784)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。