資機材販社「自助努力では対処できない」
建設資材の値上がりが止まらない。鋼材は原料の鉄鉱石や石炭の輸入価格が高騰しているためで、足元では配管用鋼管や空調用銅管の価格改定が収まらない。原油価格の高騰で石油化学製品が値上がりし、塩ビ管やポリエチレン管なども断続的に価格上昇した。度重なる値上がりに管工事の資機材を取り扱う販社からは「もはやどうすることもできない」と落胆に近い声が聞こえる。
世界的な原油価格の高騰や海運コンテナ船の運賃急騰などから、建物に使う建設資材が軒並み値上がりしている。代表的なのは木材や鋼材で、経済調査会の積算資料によると、建物の柱や梁に使うH形鋼(300×300×10×15㍉)は足元で1㌧当たり11万4000円に達し、昨夏に比べ2万4000円上昇した。鉄筋も夏から段階的に値上がりし、直近では10万円(SD295A D10㍉)を付けた。
海外原料メーカーの供給不安などを要因に、建築用塗料も価格を改定した。日本ペイント(本社・東京)は9月、シンナーや溶剤系塗料の価格を15%ほど値上げした。関西ペイントは8月に塗料類を15―25%引き上げた。スズカファインや大日本塗料も取引先などに値上げを伝えている。「10月から仕入価格が上がったが、施主によって値上げの理解に温度差があり、コスト転嫁に困っている」(札幌市内の塗装会社)。
内装材の価格も上昇傾向にある。アイカ工業は11月に化粧板やトイレブースなど5―25%値上げし、12月は化粧ボード全般を10―15%値上げすると打ち出している。サンゲツは9月から、壁紙や床材などの価格を13―18%改定した。
値上げに強い危機感を抱いているのが、管や空調衛生の業界だ。原油高に伴う国際的なナフサ価格の高騰から、給排水で使う塩ビ管や継ぎ手が軒並み値上がりしているため。信越ポリマーやアロン化成、旭有機材、ヴァンテック(いずれも本社・東京)、タキロンシーアイ(同・大阪)は10月までに今期2度目の値上げを決めた。
積水化学工業は塩ビ製品やポリエチレン製品を9月に値上げし、11月1日出荷分からは硬質塩ビライニング鋼管などの価格を7%から20%以上改定した。イノアック住環境(本社・名古屋)は6月で収まらず、12月もポリエチレン管全般を値上げする。
札幌市内の資機材販社は「樹脂製品のほか、鋼管の値上がりは年4回と異常。最近は半導体不足から温水ボイラのスイッチや温水洗浄便座が供給不安にあり、物件の引き渡しに影響が出かねないと心配している。海外の事情も影響をもたらし、1事業者の自助努力では対処できない」と訴え、現状への理解を発注者や元請けに求めている。
(北海道建設新聞2021年12月2日付3面より)